DE013:ドイツの公園と、あの時の自分へ

ドイツ編

ドイツに暮らしていたころ、週末になるとよく公園を歩いた。
この国では、都市計画の中に緑がしっかりと組み込まれている。
人々が自然の中で呼吸できるように——そうした思想が、街そのものに息づいているのだと思う。

散歩に出ると、公園にはいつも思った以上に多くの人がいた。
ベンチで読書をする人、犬と歩く人、ただ空を眺めている人。
それぞれが思い思いの時間を過ごしているその風景が、どこか穏やかで、好きだった。

大きな木が並ぶ道を歩くと、ふと顔を上げることがある。
仕事で苦しいときも、あの木々を見上げた。
風に揺れる枝の音を聞きながら、「いつかこの苦境を乗り越えられる日が来る」と、
自分に言い聞かせていた。

今でも、その公園の写真をスマホの待ち受けにしている。
あの時の辛さを忘れないために。
そして、これからどんな苦難が訪れても、また乗り越えられるようにと願いを込めて。

ドイツの公園の緑は、単なる風景ではない。
それは、あの頃の自分を支えてくれた静かな祈りの場所でもあるのだ。

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