※あくまでも自身の経験と個人的な意見に基づきます
ドイツ人への営業は難しい。
その理由を「価格にシビアだから」「合理的だから」と片づけるのは、正直かなり浅い。
彼らが見ているのは、値段そのものではない。
計算しているのは「人と人とのつながり」
ドイツの取引先と話していて強く感じるのは、
業者との関係性そのものが資産として扱われているという点だ。
- 誰が担当してきたのか
- トラブル時にどう動いたのか
- 約束を守ってきたか
こうした積み重ねは、単なる感情論ではない。
彼らにとっては、明確な「評価対象」だ。
だからこそ、
「今の業者で特に問題がない」という状態は、
それだけで大きな価値を持つ。
業者を替えるという“作業”の重さ
ドイツ人が慎重なのは、感覚的な話ではない。
業者を替える工程そのものに、明確なコストを見ている。
- 社内での説明・承認プロセス
- 現場オペレーションの変更
- 新しい担当者とのすり合わせ
- 想定外トラブルへの不安
これらはすべて、時間的コストであり、
同時に精神的負荷でもある。
彼らは、これをきちんと計算している。
「安くなる」だけでは割に合わない
仮に価格が少し下がったとしても、
そのために発生する社内調整、責任、ストレスを考えれば、
「替えないほうが合理的」という結論になることは多い。
だから、
- 少し安い
- 少し早い
- 少し新しい
この程度のメリットでは、話は動かない。
ドイツ人がドライに見えるとしたら、
それは感情を排した“総コスト思考”をしているからだ。
実は「値段は二の次」な世界
ここが、物を売る側として一番重要なポイントだと思う。
値段は二の次。
まず問われるのは、
- この会社は長く続くのか
- 担当者が変わっても品質は保たれるのか
- 何かあったときに逃げないか
これらをクリアして、ようやく価格の話になる。
順番を間違えると、どれだけ安くても相手には響かない。
売る側が覚えておくべきこと
ドイツ市場では、
「値段で勝負しよう」と思った瞬間に、だいたい負ける。
それよりも、
- 小さくても確実な実績を積む
- 約束を守り続ける
- 変えなくていい理由を壊さない
この積み上げのほうが、はるかに効く。
安易ではない。
だからこそ、売る側も安易になってはいけない。
おわりに
ドイツ人は、値段だけで物を買わない。
人と人とのつながり、
業者を替えるために必要な時間、
その過程で生じる精神的負荷――
それらすべてを含めて「合理的」に判断している。
物を売る側は、
価格を下げる前に、信頼を積み上げているかを
一度、真剣に考えたほうがいい。
値段は、最後だ。


コメント